もりや眼科ブログ

森谷充雄の眼科ブログ

月別 アーカイブ: 2013年7月

もりや眼科 平成25年7月の手術実績

2013.07.31

もりや眼科 平成257月の手術実績

 

白内障手術  36

霰粒腫摘出術 4

後発白内障に対するレーザー治療 5

網膜レーザー光凝固術 4

レーザー虹彩切開術 1

涙道シリコンチューブ挿入術 4

涙点プラグ挿入術 2

眼瞼内反症手術 1

 

このところ、糖尿病網膜症で重症な方が多くいらっしゃっています。網膜症も軽度のうちに治療すれば視力が落ちないのですが、重症な方は治療しても視力が回復しにくい方もいらっしゃいます。当院では、糖尿病黄斑浮腫は初診時に抗VEGF薬の硝子体注射を行いますが、時間がたった浮腫だと視力が改善しにくいです。他にも、硝子体出血や新生血管緑内障の方もいらっしゃいました。もっと早く見せてもらえたら簡単に治せたのに・・と思います。来月は忙しい1か月になりそうです。

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糖尿病性ぶどう膜炎

2013.07.29

本日は白内障手術を9件行いました。
みなさん無事に終わりました。

糖尿病性ぶどう膜炎

 

糖尿病はさまざまな目の合併症を引き起こします。一番多いのは網膜症ですが、たまにぶどう炎を起こすことがあります。ぶどう膜は、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの部分の総称です。この場所は、炎症を起こしやすいことが知られています。ぶどう膜炎は、サルコイドーシスやベーチェット病などの病気に合併することが多いのですが、糖尿病が原因になることがあります。
糖尿病で生じるぶどう膜炎は、症状が激しいことが多く、前房(目の中の水)に強い炎症を生じ、フィブリン膜が張りだしてきます。
目の中に炎症があると、虹彩癒着といって、虹彩と水晶体がくっついてしまします。それを防ぐために、ステロイドの点眼をしながら、瞳孔を開いたり戻したりして動かすことで癒着をしないようにします。下の写真では、赤矢印のところで虹彩と水晶体が癒着しています。虹彩に癒着があっても新しいものであれば点眼だけで外れることもあります。

糖尿病性ぶどう膜炎2

また、目の中で炎症が起きていると、目の中の水(房水)のめぐりが悪くなって、眼圧が上がることがあります。この場合は、眼圧を下げる点眼をしながら、ステロイドの点眼で炎症を抑えます。

 

結局のところ、糖尿病が原因なので、原因となる病気をしっかり治療してもらうことになります。殆どの場合、糖尿病網膜症が合併しているので、レーザー治療を行い、網膜症を改善していくと、糖尿病性ぶどう膜炎も良くなっていることが多いです。

 

糖尿病性ぶどう膜炎は、白内障になることがありますが、ぶどう膜炎がしっかり落ち着いていないと、手術が原因でぶどう膜炎が再発してしまいます。約半年落ち着いているのを見計らって手術を行うと良いと思います。

 


蛍光眼底造影検査

2013.07.22

今日は白内障手術を8件(うち入院2件)行いました。
みなさん無事に手術を終えました。

蛍光眼底造影検査

 

前回までに書いたとおり、糖尿病網膜症は網膜に多彩な変化をきたします。もちろん、普通に眼底検査をしただけでも、かなりの情報を得ることができます。しかし、蛍光眼底造影検査は、通常の眼底検査に加えて、沢山の情報を得ることができます。

 

蛍光眼底造影検査は、フルオレセインという薬を用います。
 フルオレサイト

この薬は黄色201号という色素で、入浴剤に用いられています。実は、皆さんもよく知っているあの緑色の色素です。

 バスクリン

これを点滴で血管の中にいれながら、眼底を撮影すると、フルオレセインのあるところが光ります。
FAG A1

これが蛍光眼底造影検査の写真です。太い血管は静脈で(青矢印)、細い血管は動脈です(黄色)。この人はいくつか点状出血があるので、その箇所で造影剤が漏れ出ています(赤矢印)。

黄斑と呼ばれる大事なところは、造影剤でほとんど染まっていません(緑矢印)。この部分は網膜神経が密にあるぶん、血管が少ないのです。逆に、黄斑以外の部分は全体的に白く染まっています。これは、網膜に血流がいきわたっているということです。

網膜症 FAG 新生血管2 説明月

赤い丸の中に、ひょろひょろした血管が見えます。これが新生血管です。また、みどりの丸で囲った部分は、ほかよりも背景が染まっていません。これを血管床の閉塞といって、網膜に十分血液が行っていないサインです。血管床の閉塞は、蛍光眼底造影検査をしないと分からない所見です。

レーザー治療を行う場合、蛍光眼底造影の結果をもとに、レーザーする場所を決めることがあります。血管床が閉塞している場所や、新生血管のある場所にレーザー治療を行うことで、網膜の血液不足を効果的に改善することができます。


糖尿病手帳と糖尿病眼手帳

2013.07.08

先日、当院開院1周年を迎えました。当初は待合もかなり空いていたのですが、現在ではいっぱいになることも出てきました。これについては後日改めて報告したいと思います。

本日は白内障手術を9件行いました。(乱視用レンズ3件、入院2件)
みなさん無事に終わりました。

糖尿病手帳と糖尿病眼手帳

 

糖尿病網膜症は、当然ながら糖尿病にかかってないと起こりません。また、糖尿病が重症で、期間が長いほど網膜症になりやすいことが分かっています。例え現在の血糖値が良い人でも、以前に悪かった人も要注意です。そのため、当院に来院される方は、糖尿病手帳の提出をお願いしています。現在の糖尿病の様子だけでなく、過去の様子も知りたいのです。

 糖尿病手帳

糖尿病手帳も、いくつか種類があります。内科の情報だけでなく、眼の状態も書けるようになっているものもあります。私は、これを渡されるとぱらぱらと見渡して、昔悪くなかったかを見ます。

 

当院で診察を受けた糖尿病網膜症の患者さんには、糖尿病眼手帳を渡しています。
糖尿病眼手帳
糖尿病眼手帳2

 

手帳を渡す理由は2つあります。一つは、患者さんに自分の眼のことをもっと知ってほしいということ。特に糖尿病網膜症に患者さんは、自分の病気に無関心の人が多いと思います。恐らく視力が下がるまでは、なぜ糖尿病網膜症が怖いのかわからないのだと思いますが、視力が下がってから初めてあわてる方が多いと思います。別のホームページの資料ですが、約半数の患者さんは、自分の糖尿病網膜症がどのくらいなのかが分かっていないそうです。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/019962.php

糖尿病網膜症は、糖尿病がよっぽど進まないと生じない病気です。そのため、少しでも網膜症が出てると言われた人は、全力で治す努力をしてもらいたいです。

 

もう一つは、内科の先生への連絡のためです。実は、糖尿病網膜症が生じた場合、糖尿病を急激に改善してはいけないのです。急に糖尿病を改善すると、あっという間に糖尿病網膜症が悪化することが時々あるのです。

 


糖尿病網膜症の治療(レーザー光凝固)

2013.07.01


今日は白内障手術10件(入院2件、乱視用レンズ3件)
睫毛内反症手術
1

無事に終わりました。

 
糖尿病網膜症の治療(レーザー光凝固)
 

前回のブログで、血液が不足した部分の網膜は新生血管を作る話をしました。新生血管は、緑内障や硝子体出血の原因となる悪いものです。

血糖を改善すれば、ある程度網膜の血液の流れを良くすることはできるのですが、そんなに簡単ではありません。眼科では、ある程度血液不足になった網膜に対してレーザー治療を行います。

 

このような器械を用います。

 眼底レーザー

また羊を用いたたとえですが、

①エサ不足(血液不足)になった羊(網膜)が暴動を起こしかけています。

 網膜羊飢えで凶暴になる

② 虚血(エサ不足)になった網膜(羊)には、レーザーで死んでもらいます。
網膜羊レーザーで射殺
 

③残った羊は、エサが十分にあるので満足するということです。
網膜羊生き残る
 

糖尿病網膜症を治す治療ですが、理屈を言うと網膜を一部死滅させているのに過ぎないのです。

レーザーを当てると、当初網膜は白っぽくなります。これはレーザー直後の眼底です。

 

レーザー跡 新しい 

この白い斑点は、時間とともに薄くなっていきます。
 

レーザー跡 1週後
1
週間すると、ぱっと見た感じレーザーの跡が分かりにくいくらいになります。この段階では、まだ糖尿病網膜症を沈静化する効果は現れません。
 

 レーザー跡 2ヶ月後

これはレーザーして2か月目の写真です。レーザーを当てた部分が灰色っぽくなっていることが分かります。このような状態になって、初めて糖尿病網膜症を抑える力が働いてきます。