網膜静脈分岐閉塞症に対する硝子体手術
2017.11.24 網膜
今週は白内障手術を16件行いました。
白内障が硬くなっている症例もいましたが、無事に手術を終えました。
網膜静脈分岐閉塞症に対する硝子体手術
網膜静脈分岐閉塞症は、網膜(カメラで言うフィルム)の血管が一部詰まる病気です。詰まった部分は栄養不足の状態になるのですが、「もっと血管を作って」というシグナルをもつ化学物質、VEGFを放出します。ただ、VEGFは目の中では悪い作用があり、網膜に浮腫(むくみ)を生じてしまいます。浮腫が起こった部分の網膜はダメになってしまいます。
赤丸の部分が浮腫を起こした網膜です。この状態が続くと視力が下がってしまうので、抗VEGF薬を注射します。
ちなみに、この人は2014年3月に来院して、矯正視力(眼鏡をかけた視力)が0.2でした。
2014年4月(抗VEGF薬を注射して1ヵ月後)の写真です。注射が効いて、上の写真のように浮腫が殆ど無くなってしまいました。ただ、この薬は病気の原因を治す薬ではなくて、浮腫を数ヶ月(通常2-3ヶ月)抑えるにすぎません。そのため、再発をしやすいのです。
5月には下の写真のように浮腫が生じていました。結局3回注射の治療を行ったものの、再発しやすい状態でした。そういう場合は、硝子体手術が有効です。
硝子体手術を行うと、一部の症例では、手術後に抗VEGF薬が必要なくなります。全部の症例ではなくて、大体8割くらいでしょうか。この症例は2014年10月に硝子体手術を行って、先日診察を行うまでに一度も抗VEGF薬を必要としませんでした。
本日診察時のOCTです。浮腫が全くなくてとても綺麗でした。矯正視力(眼鏡をかけた視力)も1.2でした。視力がうまく保ててとても素晴らしいです。
目の中に入ったICL
2017.11.14 近視治療
今回は白内障手術15件行いました。
無事に手術を終えました。
目の中に入ったICL
近視矯正手術であるICL(眼内コンタクトレンズ)は、4つのサイズがあります。
これは近視の程度とは関係なくて、目の大きさでレンズの大きさを決めます。レンズが小さいと目の中での固定が悪くなり、乱視用レンズが回転しやすかったり、水晶体とICLが接近しすぎてしまう可能性があります。逆にレンズが大きいと水晶体とレンズが離れすぎて、虹彩をおしあげてしまう原因になることがあります。前房と呼ばれる、虹彩と角膜の間のスペースが狭くなると眼圧が上がりやすくなるとも言われています。洋服のサイズと似ていて、適切なサイズを使用することが大事です。
今回CASIAという新しい機械を使って、私の目の断層写真を撮ることができました。
左が左目、右が右目の写真です。Vaultというデータがあるのですが、これはICLのレンズ後面と水晶体前面までの距離です。私の場合、右587μm、左772μmでした。これは適切な範囲内だと思います。
夜盲の方に便利な眼鏡
昨日は白内障手術15件
無事に終わりました。
夜盲の方に便利な眼鏡
網膜色素変性症などで網膜(カメラでいうフィルム)が傷んでいる人は、フィルムの感度が減る=光を感じにくくなります。そのため、全体的に暗く見えることになります。日中はそれでも問題ないのですが、夕暮れになるとかなり見えづらくなります。
そういった人の為に、新しい機械ができました。暗所支援機器と言う機械です。
ドラゴンボールのスカウターのようにシースルー構造になっていて、中央部のみ明るくなった画面が表示されるようです。実際に試した人の声を聞くと、とても良く出来ている様でした。たまたま今日網膜色素変性症の患者さんが来て、興味を示していたので一度試してみようかと思います。また実際に使用してから、使用感を報告したいなと思います。
平成29年10月の治療実績
もりや眼科 平成29年10月の手術実績
白内障手術 65件
硝子体手術 11件
緑内障手術(エクスプレス挿入術) 2件
霰粒腫切開術 2件
後発白内障に対するレーザー治療 14件
閉塞隅角緑内障に対するレーザー虹彩切開術 2件
網膜レーザー光凝固術 7件
ボトックスによる眼瞼痙攣治療 3件
10月は前半を学会でお休みにしていたのですが、それでも手術件数はいつもと同じ程度の件数でした。学会で学んだことを診療に活かしたいと思います。