涙腺が腫れるドライアイ(ミクリッツ症候群 Mikulicz's syndrome)
2013.04.01
本日は白内障手術4件(うち、緑内障発作後1例、成熟白内障1件、乱視矯正用眼内レンズ使用1件)
眼瞼内反症手術1件を行いました。今回は手術が少なめでしたが、とてもハードでした。
涙腺が腫れるドライアイ(ミクリッツ症候群 Mikulicz's syndrome)
今回はやや専門的な話です。一般の方には分かりにくい内容だと思います。
外来をやっているとドライアイの患者さんは山ほど来院されるのですが、あまりに重度のドライアイの場合、シェーグレン症候群という病気を疑って、血液検査をすることがあります。
今回、重度のドライアイに加えて、涙腺と唾液腺が腫脹している患者さんが来院されて、ミクリッツ症候群と診断しました。そこで、今回はミクリッツ症候群について話をしたいと思います。
ミクリッツ症候群は、重度のドライアイに涙腺腫脹が合併する疾患ですが、その原因として、悪性リンパ腫、白血病、サルコイドーシス、結核、梅毒の可能性があるようです。そのため、まずこれらの疾患を除外する必要があります。結核は最近クオンティフェロンの血液検査ができるようになったので、多少は楽に診断できるかと思いますが、検体の取り扱い(温度)が少し面倒です。これらの疾患を除外すると、ミクリクツ病と診断されます。(正確には涙腺を病理検査する必要があります)
上の写真では、眉毛のあたりが腫れていますね(D)その他にも、顎下腺(C)も腫れています。最近、ミクリクツ病はIgG4という免疫が関与していると言われています。そのため、上記の除外診断と同時にIgG4も検査すると良いと思います。
また、涙腺だけではなく、他にも内臓疾患が合併していることもある(甲状腺の異常、肝機能異常、腎疾患など)ので、全身のCTやMRIは必須です。
乾燥性角結膜炎の治療は、一般的なドライアイに準じますが、涙点プラグを行った上で複数の点眼治療を行わないと、なかなか治りにくいかもしれません。また、全身のステロイド薬が著効するようです。
もともと稀な疾患なので、きちんと知識を整理しておかないと次に活かせませんね。次回同じ患者さんが来院されることは滅多にないと思いますが、スムーズに対応できると思います。
平成25年3月の手術実績
2013.03.30 手術実績
まぶたが内側にむいて、目がゴロゴロする病気(眼瞼内反症)の手術
2013.03.28
予定よりも桜が早く咲いたので、明日花見に行こうと思います。
雨男なので、雨に降られないかどうかが心配です。降水確率も20%くらいのようなので、微妙です。これで雨が土砂降りだったら、間違いなく私のせいでしょう・・・
まぶたが内側にむいて、目がゴロゴロする病気(眼瞼内反症)の手術
まつげ(睫毛)は、目の中にゴミが入るのを防ぐ役割があるのですが、目の周りの筋肉(眼輪筋)が緩むと、まぶたごと睫毛が目の中に入ってしまいます。
まぶたごと内側に反っているので、下まぶたの縁がどこにあるのかわかりません。当然とてもゴロゴロするので、当院で手術を希望しました。
まぶたが内側に向く原因の筋肉(緩んだ筋肉)に応じて手術を行います。眼輪筋か、下眼瞼牽引筋を引き締めることになります。手術時間は15分くらいです。麻酔だけチクッとしますが、他は特に痛いことはありません。
手術後1週間の様子です。この日に抜糸を行いました。まぶたがきちんとした方向になっているので、睫毛の生え際まできちんと見ることができます。ゴロゴロした違和感がなくなっていて、とても喜んでいただけました。
手術して1ヶ月目の写真です。もう傷口が分からないくらいに綺麗になっています。眼瞼内反症手術は、白内障ほど一般的ではないので、ひとりで悩んでいることが多くあります。また、手術をしないクリニックで診察を受けていると、点眼でごまかしながら様子を見ていることも良くあります。きちんと治療すれば治る病気なので、もしゴロゴロして悩んでいるのであれば、手術のできる眼科に相談してみてください。
目の中に炎症がおきる病気(ぶどう膜炎と白内障)
2013.03.25 白内障
先週は急性緑内障発作の方が来られました。レーザー治療はもともとしていたようですが、効いていなかったため、緊急手術を行いました。翌日から眼圧が1桁になり、経過良好です。
また、重度のドライアイの方がいらっしゃって、よく見たら涙腺が腫れていました。ミクリッツ症候群ですね。今度IgG4の測定も行いたいと思います。
また、眼痛の方がいらっしゃって、よくお話を聞いたら緊張型頭痛のようだったので、他科に紹介させていただきました。当院は目が痛いという患者さんも多いですが、緊張性頭痛や偏頭痛、眼瞼痙攣がとても多くいらっしゃいます。痛みは本人しかわからないので、診療がとても難しいことがあります。目の痛みについてもそのうちお話したいなと思います。
本日は白内障手術6件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
目の中に炎症がおきる病気(ぶどう膜炎と白内障)
これまで、合併症を伴う白内障として落屑症候群や糖尿病網膜症の話をしてきました。今回はぶどう膜炎という病気が白内障に及ぼす影響について話したいと思います。(ぶどう膜炎そのものの詳しい説明は別の日に書きます)
ぶどう膜炎は、目の中で炎症が起きる病気です。充血が起きて結膜炎かと思って眼科に来たらぶどう膜炎だと言われた人もいます。また、目の中の水(房水)が濁るので、視力が下がって眼科に行ったらぶどう膜炎と言われた人もいます。
ぶどう膜とは、目の中の茶色の部分で、外から見えるのは虹彩(青矢印)です。目の中には脈絡膜(赤矢印)もぶどう膜です。ここにはメラニン色素があるので、茶色をしているのですが、この部分は免疫異常で炎症を起こしやすいのです。
炎症が水晶体に波及すると、濁りが生じてしまいます。そのため、ぶどう膜炎そのものだけではなく、白内障でも視力低下をしてしまいます。しかし、ぶどう膜炎のあとで白内障の手術をすると、時々手術が難しいことがあります。 これは、ぶどう膜炎になった人の瞳孔の写真です。先ほどのイラストの青矢印の先の部分で、水晶体と虹彩がくっついています。これを虹彩後癒着と言います。これが生じると、暗いところに言っても瞳孔が開かないので、暗く見えます。 白内障を手術するときも、瞳孔を開いて手術をします。そのため、きちんと瞳孔が開かない人の場合、手術がしづらいのです。 瞳を開くと、癒着しているところがはっきりとわかります。この程度であれば、手術するのに殆ど支障はないのですが、あまりにがっちり癒着しているとなかなか外れません。ぶどう膜炎の治療は、炎症を抑えるだけではなく、瞳孔が癒着しないようにする(瞳孔管理)が重要です。
7色に輝くきらきら白内障
2013.03.18 白内障
この前は後輩が当院を見学に来ました。あと2ヶ月で専門医試験なので、頑張って合格して欲しいです。自分も必死に勉強したのを思い出しました。
また、私の先輩も見学に来ました。自分のクリニックに対する思いを話していたら、あっという間に遅い時間になってしまいました。当院の様子を諸先生方に紹介することが多くなってきましたが、「頑張ってますよ」と言えるように、常に前向きに頑張りたいと思います。
本日は白内障手術7件、霰粒腫摘出術1件を行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
7色に輝くきらきら白内障
今日は、動画を埋め込むのに挑戦です。以前やったことがあるのですが、久しぶりで忘れてしまいました。
白内障もいろいろあることを以前説明しました。「核白内障」「皮質白内障」その他たくさんの種類があります。そのうちの一つに「クリスマスツリー白内障」というものがあります。これは正式な名前なのでしょうか・・・大学で働いていた時からこの名前しか聞いたことありません。
https://www.youtube.com/watch?v=Ya_Pfexwb2c
短い動画ですが、分かりましたでしょうか?診察室の顕微鏡で患者さんの水晶体を見ると、このようにキラキラ輝いて見えます。うちの電子カルテで動画記録機能があってよかったです。
実際のところ、これがあってもあまり視力は下がりません。また、あまりまぶしく感じることもないようです。今まではこれを診察して綺麗だなと思っても、顕微鏡は自分しか見えなかったので、スタッフや患者さんにこの綺麗さをわかってもらえませんでした。顕微鏡にビデオがついていると診察の情報が共有できて便利です。