もりや眼科

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糖尿病網膜症の記録(糖尿病眼手帳 第3版)

2014.07.14

本日は白内障手術を8件行いました。(うち入院2件)
無事に終わりました。
 
糖尿病網膜症の記録(糖尿病眼手帳 第3版)

当院では、糖尿病網膜症の方にはよく眼底写真を渡したり、OCTの写真を渡したりするのですが、
必ずやるのが糖尿病眼手帳を渡すことです。糖尿病眼手帳を渡すことで、網膜症の治療に関心を持ってもらいたいからです。 無くしてしまう方もいらっしゃるのですが、希望があれば再発行しています。

そんな手帳が今回新しくなりました。
糖尿病眼手帳1

ぱっと見前の版と同じですが、よく見ると2が3に変わっています。

糖尿病眼手帳2
第2版と比べると、黄斑症の記載が細かくなったようです。黄斑症は視力に直結しますから、とても大事ですね。特に、抗VEGF薬治療で黄斑症がある程度治りますから、記載が細かくなるのは仕方無いかもしれません。
黄斑症の所見で「びまん性」は一般の方には分かりにくいかもしれません。私が学生の時、この言葉を初めて聞いたときは「慢性」の仲間かと思ってしまいました。
 
糖尿病眼手帳3
他のページを見ても、OCTや黄斑症の記載が増えていました。OCTはもう少し良い機種の画像にすれば良いのに。
当院では、もうすでに3版を使わせてもらっています。今まで2版だった人は、空欄が無くなったら切り替えようと思っています。 

飛蚊症と網膜剥離

2014.06.16

本日は白内障手術10件を行いました。すべて無事に終わりました。最近通常の症例が少ない気がします・・

2件は多焦点眼内レンズ、1件は91歳とご高齢な方、もう1件は高度近視で、-13Dというとても強い近視でした。近視が強い方は手術が難しいことがある(水晶体の支えが弱くなっていることがある)ので、とても慎重に手術をしました。特に問題なく手術が終わりました。

 

飛蚊症と網膜剥離

 

今回は飛蚊症の話です。最近テレビで飛蚊症と網膜剥離についてやっていたらしく、「網膜剥離をチェックしてほしい」という患者さんが沢山いらっしゃいます。それもあって、今回は飛蚊症について話したいと思います。

 

飛蚊症とは視界に糸くずや黒い影のようなものがみえ、目を動かすのにつられて動き回るように感じる症状を言います。蚊が飛んで見えるので「飛蚊症」という名前がついています。明るい場所や白いもの、空を見たとき、疲れたときに良く見えます。多くの場合は目の病気ではないので問題ありませんが、きわめて稀に網膜剥離や糖尿病網膜症であることもあります。

網膜剥離の有病率は1年あたり1万人に一人と言われています。つまり小山では年間15人程度の患者さんが出ている計算になります。

 

飛蚊症を理解するためには、「硝子体」について説明する必要があります。硝子体とは、眼球内部にあるゼリー状の物質です。

211s


上の図は若い人と老人の硝子体の違いを示したものです。眼球内部の青い部分が硝子体です。若い人は目の中いっぱいに硝子体が入っています。硝子体は年齢とともに縮んでいきます。硝子体は水晶体付近としっかりくっついているので、ある年齢になると網膜から離れます。この時に飛蚊症を自覚しやすく、網膜剥離が起きやすいのです。

 

PVD前

上は硝子体が剥がれそうという写真です。硝子体も水もどちらも透明なので、写真では黒く示されています。その境目が白くきらっと光っています(白矢印)

PVD後

上の写真は、同じ人の3か月後です。硝子体が網膜からしっかり離れました(白矢印)。こうなると、硝子体は目の中で自由に動くようになります。そうすると、ちらちらして見えるようになります。

 

生理的な飛蚊症自体は怖いものではありません。ただ、急に飛蚊症が増えた場合には網膜剥離の可能性もあるので、すぐに眼科に受診しましょう。

徐々に進行する網膜静脈閉塞症

2014.05.19

本日は白内障手術11件を行いました。
IFISの方がいましたが、特に問題なく終わりました。プレチョッパーという器具を使用すると虹彩が暴れだすまでに核分割が終わるので安全に手術ができます。
また、緊張が強い方に内服薬を飲んでもらってから手術をしたのですが、これが良く聞いたようで穏やかに手術を行うことができました。


今回のお話は網膜静脈閉塞症についてです。

 

網膜静脈閉塞症に関しては、過去の記事を見てください。

https:/moriyaganka.com/blog/24164789.html

 

網膜静脈閉塞症とあ、網膜に流れる静脈が詰まる病気です。血管が詰まるという意味では心筋梗塞や脳梗塞と同じで、目にとっては危機的な状態です。完全に静脈が詰まっている場合もあれば、切迫型といって、血流が悪くなっているだけ、というものあります。初めは切迫型だったのが、そのうち完全閉塞になることもしばしばあります。

 

網膜静脈閉塞症では、血液不足になった網膜に新しく血管を作ろうとして、VEGFというホルモンが眼球内に大量に分泌されます。このホルモンによって虹彩に新生血管が生じます。すると、虹彩の新生血管が目の中の水の出口を塞いでしまい、新生血管緑内障という悪性の緑内障を引き起こしてしまいます。こうなると、光を感じなくなるだけではなく、激しい眼痛が生じてしまいます。
これを防止するためにはレーザー治療が必要なのですが、当初レーザーで落ち着いていても、後になってもっと血流が悪くなり、結果として新生血管緑内障になることがあります。
 

 

図2

上の写真は70台の女性で、発症一か月の網膜中心静脈閉塞症です。

静脈(矢印)が太くなって蛇行しています。心臓に帰るはずの血液がうっ滞しているのです。

 

図1

これは上の写真と同じ人の発症1年半後です。静脈が殆どわからないくらい細くなっています。視神経乳頭の部分(矢印)の部分を見ると、静脈が細くなっていることが分かります。

レーザーを沢山打つことで新生血管緑内障を予防していますが、それでも網膜の血流が途絶してしまうと新生血管緑内障が生じることがあります。場合によっては緑内障手術が必要になるかもしれません。 

 

まぶしさ対策

2014.04.07

本日は

白内障手術8件(入院2件)

結膜嚢形成術2

皆さん無事に手術を終えました。

 

まぶしさ対策

 

「まぶしくて困っている」という話は、外来をしていて良く経験をします。眩しさの原因はとても多彩です。

①光の散乱

本来、眼球に入った光は黄斑で焦点をむすぶはずですが、それ以外の網膜に光があたると眩しく感じやすくなります。白内障の一種である皮質白内障はまぶしくなる代表疾患です。また、ドライアイで目が乾くと、角膜表面で光が散乱され、眩しくなります。

 

②網膜が敏感

特に、小児や若い方はまぶしく感じやすいです。瞳孔が大きくて眼球内に光が沢山入るという理由のほかに、網膜が光に対して敏感だというのも原因です。眼科医は眼底検査を行う時に目に光を当てるのですが、年配の方ほどまぶしいという人が少ないです。

 

③白内障手術後

白内障のせいで暗かった眼球内が、手術をして急に明るくなると眩しくなることがあります。しばらく様子をみると慣れることもありますが、なかなかなれない方もいらっしゃいます。

 

光の波長のなかに、眩しく感じやすい波長の光が存在します。

 分光透過率曲線

青色の光(380-480nm)が眩しく感じやすいです。ですから、その波長を遮れば眩しさが減りやすくなります。反対に、555nmの波長は、明るく感じる波長なので、そこを通してやれば暗く感じにくくなります。

 網膜疾患の見えかたと、遮光眼鏡装用時の見えかた

 

左は網膜の疾患で眩しく感じているイメージで、遮光眼鏡をかけると右のようにくっきり見えますというイメージだそうです。必ずしもここまでくっきりするかは個人差があると思います。

 遮光眼鏡

本来、眩しく感じやすい青色を遮断する眼鏡は黄色なのですが、黄色いレンズの眼鏡をかけたくない方にはほかの色もあります。当院でいろいろ試すことができます。(要予約)

 

 

糖尿病治療の内科と眼科の連携

2013.12.09


本日は白内障手術を10件行いました。
すべて無事に終わりました。

最近、「来年度から保険が2割になりそうだから、手術を早めにしたい」という方が出てくるようになりました。確かに、白内障手術の費用も倍になるのですから、もうそろそろ手術を考えている人には良いのかもしれません。 

先日、「糖尿病治療の内科と眼科の連携を考える会」というものに行ってきました。患者さんに対するアンケートの結果から、問題点が見えてきます。

①「糖尿病で目が悪くなる」という事を知らない人が多い
内科にかかっていない人はもちろん知らない人が多いのですが、糖尿病で内科を受診している人も、目が悪くなることを知らない人が多いとのことでした。

② 眼科にかかっていても、自分が網膜症だと知らない人が多い
単純糖尿病網膜症(福田分類A相当:網膜症が軽い人) に関して、自分が糖尿病網膜症ではないと答えた人が多かったようです。糖尿病網膜症はかなり進行しないと視力が下がらないので、そのように思うのかもしれません。

③病気が見つかるのが嫌だから病院に行かない
場合によっては、本人が病院に行きたがらないことも多いようです。視力が低下してからでは手遅れになることもあるという事を知らないのかもしれません。 

私が思っている以上に、一般の方は網膜症に対する知識がかなり少ないのだと思いました。また、患者教育の重要性を改めて感じました。日常診療や講演などを通して、糖尿病網膜症の知識を広めていきたいと思います。 

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