平成28年3月の治療実績
2016.04.20 手術実績
網膜色素変性症と拡大読書器
今回は白内障手術を14件行いました(うち入院2件、乱視用レンズ2件)
無事に手術を終えました。
網膜色素変性症と拡大読書器
網膜色素変性症は難病指定されている病気なのですが、現在特に有効な治療がありません。
人によってはかなり見えにくくなります。視野が狭くなったり、暗いところでは殆どみえなかったりします。
網膜色素変性症の方の眼底写真ですが、周辺部で網膜の色が灰色になってきています。
上の写真は健康な人の眼底写真ですが、比較すると色調の違いが分かりやすいと思います。
当院で診ている人の中で、網膜色素変性症の方が「見づらくて文字が書けなくなった」と言いました。そのため、拡大読書器を試してみることにしました。
拡大読書器はいくつか種類があります。大まかにはハンディタイプと据え置き型があります。
文字を読むのにはどちらも良いと思うのですが、書くとなるとハンディタイプはうまくいかないようです。
片手で拡大読書器を持ちながら、もう片手で物を書くことは難しいということでした。据え置き型なら両手が自由になるのですが、一方で画面を見ながら物を書くのは少し慣れが要るようです。
うまく慣れて生活の質が保てればと思います。
目のまわりについたメヤニ
2016.04.11 もりや眼科
本日は白内障手術13件(うち入院2件)
無事に終わりました。
目のまわりについたメヤニ
外来に来院される方のうち、目やにを主訴にする方は結構多くいらっしゃいます。
目やにの原因は色々あるのですが、最も多いと思われるのがマイボーム腺からの分泌物です。
マイボーム腺からは脂が分泌されていて、目が乾かないようにしているのですが、年齢とともにベヤベタしたものに変化していきます。
その分泌物が目の周りに残ると目やにになります。目やには一旦乾くとぺったりはりついて取れにくくなります。
赤丸の中の睫毛が目やにのせいでひとまとまりになっています。こうなってしまうと、洗わないとなかなか取れません。しかし、基本的に脂が主成分なのでお湯だけだと若干落ちにくいことがあります。ただ、洗顔料やボディーソープは基本的に目に入らない前提で作られているので、一般的には目にはいるとしみるようです。
そういった場合、赤ちゃん用のボディーソープがお勧めです。これは目に入ってもしみにくく出来ています。なかなか洗いにくい場所ですが、これを使うとうまくきれいに出来ます。
流行性角結膜炎で視力がさがる(角膜混濁)
2016.04.04
今週は白内障手術13件
翼状片手術、結膜脂肪ヘルニア手術各1件
無事に終わりました。
流行性角結膜炎で視力がさがる(角膜混濁)
実は今流行性角結膜炎が流行っています。感染力の強い結膜炎です。
アデノウィルスというウィルスが原因です。残念ながらウィルスを殺すような薬は無いのですが、だからと言って点眼治療をしないと、炎症反応によって角膜に濁りを残してしまう事があります。
矢印の先ですが、分かりますでしょうか?斑点状の濁りが生じています。この方は矯正視力(眼鏡を掛けた視力)は1.2なのですが、人によっては視力が出なくなる人もいます。混濁の深さにもよりますが、特殊なレーザーで混濁を削ることもできます。
ステロイドという炎症止めの点眼薬を使用することで、この混濁が出にくいようにすることができます。感染時にはしっかり点眼を行いたいものです。もちろん、他人にうつさないよう注意が必要ですね。
糖尿病網膜症治療の難しいところ③
2016.03.28 網膜
本日は白内障手術12件
全て無事に終わりました。みなさん術後の痛みが少なくて経過良好のようでした。
糖尿病網膜症治療の難しいところ③
生活習慣病である糖尿病になる患者さんの性格には一定の傾向があるように思います。もちろん、「傾向」なので、それに当てはまらない方も多くいるということは予め断っておきます。その性格の一つが「医師の指示がなかなか守れない」(今回の話で言うと、禁煙できない)ことです。
糖尿病とともに、「喫煙」も糖尿病網膜症を悪化させます。網膜の血管を細める作用があり、網膜の血液不足を進行させるのです。そのため、糖尿病網膜症が悪い人には「是非喫煙しましょうね」と言って、カルテにも「禁煙指示済」と書くのですが、次に来た時もタバコのにおいがプンプン・・・相当吸っているんでしょうね。この人は当院初診前に既に他院で硝子体手術を何度か行った方なのですが、当院に来始めたときから既に視力が0.02で、生活に大分不自由しているようでした。「なんとか見えるようにしてください、お願いします!!」と強く言ってくるのですが、残念ながら一旦傷んだ部分は良くなりません。これ以上悪くならないように内科の治療も禁煙もしっかりやりましょうね、と言うのですが、それでもタバコを止める気配がありません・・本当に目を守りたいのかなと思ってしまいます。さらに、その後心筋梗塞にもなってしまったようで、とても残念です。
他にも同じような方がいて、重症の糖尿病網膜症と黄斑浮腫がある方なのですが、当院で手術をすることになりました。既往歴を聞いたところ、当院初診2か月前に脳梗塞をしたようです。脳梗塞のある方の場合、黄斑浮腫の治療薬である抗VEGF薬を使うと脳梗塞を悪化させてしまう事があります。(抗VEGF薬には何種類かあり、それぞれ目の外に対する影響はやや異なりますが、基本的にはどれも脳梗塞を悪化させる危険性があります)
そのため、患者さん本人と相談の上、抗VEGF薬を使用せずに治療をすることになりました。浮腫は経過とともに徐々に改善していきました(抗VEGF薬を使うととても早く治るのですが、今回はゆっくり良くなりました)。手術前から「タバコは網膜にも良くないし、脳梗塞にも良くないからやめようね」と良く説明していたのですが、それでもなかなかやめてくれません。この方も外来に入るなりタバコのにおいがするので、よっぽど吸っているのだと思いました。
何度も言うようですが、医師のいう事を良く守ってくれる方も沢山います。また、タバコを吸っていなくても網膜症が悪くなる人も沢山います。しかし、リスクの一つであることは間違いないので、医師の指示を聞いてもらいたいと思います。