網膜剥離について
2014.12.09
本日は
白内障手術10件
翼状片手術1件
無事に終わりました。
網膜剥離について
以前飛蚊症について記事にしました。眼の中にある硝子体が年齢とともに縮んでいくのですが、稀に網膜を巻き込んで縮んでいくことがあります。そうした場合に、網膜に傷(裂孔)を作って、そこから網膜が剥がれてしまいます。これを網膜剥離と言います。
これは実際の網膜剥離の写真です。左上に裂孔が2つあり、そこから網膜が一部剥離(はがれて)います。
網膜の比重は水や硝子体より重いので、眼球の上方に裂孔ができた場合は比較的早い速度で網膜剥離が進行してしまいます。逆に、下方に出来た場合は、網膜剥離の進行が遅いこともあります。そのため、自覚症状が出にくく、逆に眼科に受診するまでに時間がかかってしまった、という事もあります。
網膜は、その奥にある脈絡膜としっかり張り付いていることが重要です。脈絡膜は血管が豊富で、血流が豊かなので、網膜はそこから栄養をもらっています。網膜剥離の状態が続くと、網膜が死滅してしまうのです。そのため、網膜剥離は比較的早い時期に手術を行った方が良い、とされています。
網膜剥離で大事なのは、黄斑が維持できるかどうか、ということです。黄斑とは網膜の中のど真ん中の事です。
これは、上の写真と同じ人です。黒矢印の部分が黄斑です。この写真の中には網膜剥離のところは認めません。黄斑が剥がれていないので、視力は良好です。(別に、黄斑前膜もありますが・・)
これは別の人の写真ですが、黄斑も剥がれてしまっていました。そのため、視力も0.05まで低下していました。このような場合、手術をして視力が上がったとしても、変視症(ゆがんで見える)が生じることもあります。
白内障による複視(片目で2つに見える)
2014.12.02
本日は白内障手術12件
無事に終わりました。
白内障による複視(片目で2つに見える)
白内障も色々な種類があって、それぞれに見えかたが異なります。色彩が落ちて行ったり、眩しく見えたり、近視が進んだりするものもあります。
複視もその中のひとつです。複視というのは英語でdouble visionといって、ものが2つに見えてしまう事です。通常、こういった場合は、左右の目が違う方向を向いていることが多いのですが(斜視)、片目でも2つに見えてしまうことがあります。これを単眼複視といいます。白内障が原因の場合、3つみ見えることが多く(それ以上の数に見えることもありますが)、三重視と言ったりもします。
白内障が原因で、水晶体に濁っているところと、それほど濁っていない場所ができることがあります。そうすると、回折という現象が起きます。
光は、細いところを通ると進行方向が変わるという特性があります。この回折現象が複数の箇所で生じると複視の原因になります。もちろん、手術を行うと治ります。
眼底自発蛍光
2014.11.19
眼底の写真の撮影で、自発蛍光と言うものがあります。これは網膜色素上皮に存在するリポフスチン様子を撮影できます。網膜色素上皮に異常があると、リポフスチンが多くなり、結果として明るく写ります。異常が進んで、網膜色素上皮が傷んでしまうと、リポフスチンも無くなるので暗くなります。
上のような方で自発蛍光を撮影すると、下のようになります。
黒く抜けている部分は、網膜色素上皮がだめになってしまっている場所です。病変に活動性があると白くひかりますが、この症例では認めません。そのため、現在落ち着いていると言えます。 下のような眼底写真は一見綺麗に見えますが、
自発蛍光を取ると、矢印の部分で過蛍光を認めます。この方は中心性漿液性網脈絡膜症の方ですが、この矢印の部分から網膜下液が出ていると思われます。
他にも、加齢黄斑変性の病気の活動性を知るためにも、この自発蛍光は有用ですし、小児の弱視でも、この検査を行うと原因が分かることもあります。今後も積極的に活用したいと思います。